Thad Jones・Mel Lewis & The Jazz Orchestra
DISC LINEUP Vol.3


THE GREAT CONCERT
ザ グレイトコンサート
Featuring
Recorded Data
1976.8.6
Recorded Place
Poland (W SOPOCIE)
First Sale
Distribution
JAZZ VIEW COD017
LP/CD/LD/VHS/DVD
CD
                                             
JAZZ W OPERZE LESNEJ
LP

CD THE GREAT CONCERT
1 Fingerse 13:29
2 THANK YOU 6:50
3 TAKE A LADDER 8:47
4 GREETING AND SALUTATION 13:44
         
LP JAZZ W OPERZE LESNEJ
A1 Fingerse
A2 THANK YOU
B1 TAKE A LADDER
B2 GREETING AND SALUTATION
                               

Trumpet
Tromborn
Woodwind
Rhythm Section
                                         
Thad Jones
John Mosca
GERGORY HERBERT
Mel Lewis
AL PORCINO
WILLIAM CAMPBELL
ARNOLD SCHNEIDER
DWIGHT BOWMAN(Bass)
FRANK GORDON
EARL McINTYRE
EDWARD XIQUES
HARNOLD DANKO(Piano)
EARL GARDNER
CLIFFORD ADAMS
JERRY DODGION
LYNN G.NICHOLSON
PEPPER ADAMS

一言、二言、三言です

このアルバムは多くのサド&メルファンが血眼になって探したお宝アルバムなのだ。
ふとした事がきっかけで知り合う事が出来た方がヨーロッパ各地のオーケストラ演奏旅行の際に購入された逸品である。
で、その実態は…

なんとこれは録音された時点から海賊盤(アナログ盤)をまた海賊盤(CD)にされた代物であった!
「JAZZ W OPERZE LESNEJ」としてポーランドから発売されたアナログ盤(ペラペラジャケットの海賊盤)をドイツからタイトルを変更してCD化された物である。会員配布制40枚組みCD Box物の中の一枚として含まれていた。
特筆すべき点が幾つか判明したので面白半分で読んで貰いたい。

驚くべき事に私の大嫌いなLASER LIGHTの根源がここにあったのである。
しかもこのCDに潜むその大胆さは遥かにLASER LIGHTを追い越し、思わず笑ってしまうほどの出来栄えである。
まずCDに針音が入っている。レコードからのダビングであるのは冒頭の数秒で判断できる。
当然テンポはあてにはならないと諦めるが、さらに大胆な問題は累積することになる。
偶然にもオリジナルであるLP盤を持っていたので比較によりその幼稚なダビング方法が手に取る様に分かる。

通常LPから音源を起こす場合、ターンテーブルとカートリッジは必須アイテムであるがこのどちらも非常に粗末な機械が使用されている。安価なターンテーブルが回る際に出る"ゴロゴロ"音が唸り続け、非常にレンジの狭いカートリッジによって"モコモコ"の音質で採取されている。しかも針にこびりついている汚れやゴミは取り除かれてはいないであろう終止歪んだ音が聞こえている。

さて音の悪さに気が取られとても重要な事に暫らく気が付かなかった。
何と左右(L/R)がLP盤とは逆に録音されている!
バストロンボンが右から聞こえているのでうっかりしていたのだが、あろう事かPianoが右から聞こえる。当然バリサクが左から聞こえてくる。これは流石のLASER LIGHT盤でも成し得なかった偉業だ。
今更ながら「そうだ、サド&メルのバスボンの位置は通常配置での2ndポジションだった!」と再認識させられてしまった。

さらに話題は佳境に入る。もしもLP盤に傷があれば一回転に一回大きなノイズが入る。このダビングに使用したLPにはたぶん巨大な傷が入っていたのであろう。バラード(Thank You)の静かな部分で凄まじく定期的な"バツン"が数十秒間鳴り続ける始末。アナログ世代の人間にしか理解できないとは思うが私はいつ針が飛ぶかヒヤヒヤする妙な錯覚に陥ってしまった。然るにパブロフの犬の如く気になって音楽どころではなくなるのである。

おまけの笑い話としてはジャケットの裏に記載されている時間標示が見事にデタラメ!
商品として作ったアルバムの時間すら把握しないで印刷してしまうこの徹底したずさんな精神は見上げたものである。こうなった理由は明らかだ。つまりLPジャケットに表記されているまま書き写した結果である。しかもダビング時の回転が正確ではない為に時間がずれてしまったのである。

タイトルの"THE GREAT CONCERT"は凄いタイトルと感心させられますがバンド名の「THAD JONES & MEL LEWIS BIG BAND」はあんまりですね。
サド&メルの正式名称は「THAD JONES・MEL LEWIS &THE JAZZ ORCHESTRA」です。

ところで肝心なアルバムの内容についてほんの少し触れてみたい。
サド&メル後期に演奏されていたFingersはいつもこうだったのかも知れないが、やはり共産圏で演奏されるFingersは何故か壮絶なアップテンポである。いかなる時でも平常心であるメルのドラミングとは信じ難い熱いビートを叩き出している。またトロンボーンによる火の出るようなソロを聞く事が出来る。
おきまりのサックスソリはここに至ってはサーカス!しかも一番早い部分では歌いまわしに見事な味まで出ている。久しぶりに聴いた私でも思わず「うわっ!」っと声を出してしまう。
最晩年のサド&メルでは姿を消してしまう大御所(特にサックス隊)がまだ参加しているのに注目。このポーランド盤あたりを最後にその後バンドメンバーは一新されてしまうので大変惜しい。
最後に恒例のサド ジョーンズによるメンバー紹介があった後「The Band!」と叫んでいるのでどうやらFingersがラストの演奏曲目であったと思われる。

2曲目のThank Youも素晴らしい。
暴走機関車のようなFingersの後にこれほどゆったりしたテンポの曲を演奏されると体中の力みが一気に抜けてしまう。但し本番での曲順は違っているようである。
この曲ではPepper Adamsのソロが絶品である。また最初にソロをとるJohn Moscaの太い音に聞き耳を立ててしまう。

3曲目のTake A Laddyもたっぷりとバンドを鳴らし切った快演である。ほどよいテンポ、コンボとフルバンの美味しい所を十分堪能させてくれる。メルにこの手の粘りがありながらも跳ねるビート(ミディアムブルース)を叩かせたらたぶん右に出る者はいないであろう。さりげなく目立たないが聞けば聞くほど舌を巻いてしまう。

4曲目はご存知サド ジョーンズのお得意の8ビート物。
噂ではあるが生粋の4ビートドラマーであったメルはこのビートが腸が煮えくり返るほどお嫌いだったそうな。
その証拠にメルルイスオーケストラになってからもサド ジョーンズ編曲物は多数演奏しているが特に8ビート物でも"ブガルー"と言われるリズム形式の曲(US、Central Park North等)は一切録音に残していない。
Fingersを演奏していたメルとは別人の如く非常に冷徹なまでのメトロノーム化したドラミングに終止している。これが妙にマッチして成り立ってしまうのが実はこれこそサド ジョーンズの狙いなのかもしれない。
つまりアレンジ上、ドラムがバンドと共に盛り上がってはアレンジ本来の意図が成り立たないのである。
ロックに成らないからこそMel Lewisが偉大なのである。
煮え切らないドラマーとしての一部の批判は本当の意味が理解できない輩の戯言である。

最後にこの曲のエンディングトーンで誰かが♪汽笛一声新橋を〜♪と吹きまくっている。サド&メルが来日した時の移動は新幹線だったのだろう。当時の新幹線では車内案内をする際必ずオルゴールを鳴らしてから放送をしていたのを思い出す。何か放送する度にこのメロディが流れていた為に相当お気に入りになってしまった(耳にこびり付いた)のかもしれない。嗚呼、ポーランドに響き渡る鉄道唱歌!


Thad Jones & Mel Lewis Orchestra DISC LINEUP

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